境界標について | 札幌の土地家屋調査士 「表示登記・測量」 本名 淳事務所

境界標について

1.境界標設置の意義

 土地の境界標とは、一筆の土地の境の屈曲点に設置された標識のことで、その土地の所有者が、排他的に使用することができる範囲を、客観的に定めたものです。

 宅地造成や区画整理等によって、境界標が既に設置されているところはともかく、ところによっては樹木や、板塀を境界としているところもあります。
中には現況が変化して、誰も正確な境界点を証明できないために、多くの労力と経済的負担を費やして復元することがあるばかりでなく、これが元で、今まで平穏なお隣さんとの関係も悪化してしまうというのが現状です。

 境界が不明ということは、境界標が現地にないということで、登記されている土地を現地において特定することができないということになります。
 更に土地は、相続されますので、自分がおよその位置を知っているだけでは不十分です。世代が変わって子供や孫の時代になれば全く分からなくなります。

 そこで、大切な財産を管理するためには、境界点に、不動の永久標識を設置して、境界標を維持管理することが最も大切なことです。

 登記されているから大丈夫ということにはなりません。自分の土地には正確に境界標を設置して、管理することに勝る方法はありません。

 

 記憶は消えても境界標は残る

2.筆界とは

 土地は、自然のままですと、どこまでも続きます。

 特定の人が、特定の土地を所有するためには、何らかの方法で、どこからどこまで、どの区画であるか客観的に分かるようにしておく必要があります。
そこで明治初期から、国の事業として「区画」と「地番」を定めました。これが、不動産登記法でいう『筆界』です。

 この『筆界』のことを「公法」上の境界と言って個人の意思では変更できないものとされる境界です。
 また筆界で囲まれた区画を一筆地といいます。
 その一筆地の一部を駐車場として借りて利用する場合や、建物を建築する目的で借地する場合等、 
 つまり所有権界に関係のない境界は「公法」上の境界と区別しています。

占有界は登記の対象となりません。

 つまり、地番と地番の境を、法律上の境界(筆界)と考えてさしつかえありません。

 そこで、境界(筆界)を客観的に認識できる標識として、境界標の変わりに立木とか巨石や石垣、小川、道路等を用いて、境界木や境界石として、他の土地と区別していましたが、近年になって土地の細分化が激しく、地価が高騰したことによりわずか数センチでのもめごとや、土地の形状も著しく変化しているため、前述の境界木や境界石では不十分で、筆界点に、明確に不動の永久標識を設置しておかなければ、現地において特定することができない時代になっています。 

  

占有界変われど筆界は不変

3.土地管理の三本柱

 
 土地を取得した場合、自分が利用できる権利の範囲を明確にしておく必要があります。
 登記がしてあっても、現地に境界標がなければ、その範囲が他人には分からずトラブルのもとになります。 

 自分の土地に境界標が設置されているかどうかもう一度確認しておきましょう。

 

 境界標の位置関係を明確にするために、土地家屋調査士が作製した「地積測量図」を保存しておきましょう。

 長い間には、境界標が何かの障害により移動したり、亡失して不明になることがあります。
 そのとき地積測量図があれば土地家屋調査士に依頼して境界標を元の位置に復元することができます。 

 境界標があって地積測量図が手元にあっても、それだけで十分と言えません。
 第三者から、真実の所有者は誰なのか、所有権以外の登記の有無等、外部から認識できる登記が必要です。
 民法では、登記をしておかなければ第三者に対抗できないことになっています。
  

   結論としては、「境界標・地積測量図・登記」の三条件が揃っていれば完璧といえます。   

 あなたの土地は境界標が守る

        

4.境界標設置の7つの効用

 (1)境界紛争がなくなります。
    境界が現地において明確になっていれば、境界紛争は起こらないはずです。

 (2)財産の侵害防止になります。
    境界標が現地に設置され客観的に認識できれば、土地の侵害は未然に防げます。

 (3)土地の管理を所有者自身によってできます。
    自分の財産は、「自己管理」が原則ですから境界標を設置しておけば、家族のだれでもが管理することが可能です。

 (4)費用負担の軽減になります。
    コンクリート杭や石杭のような永続性のある境界標は、木の杭より一時的には若干費用が高くなりますが、
    将来腐食して亡失した場合に復元することを考えれば、木杭に比べてはるかに低廉となります。

 (5)取引や相続が迅速に行えます。
    若し何らかの事情で、譲渡又は相続等が発生し土地を分割する場合に、境界標が設置されていれば、
    分割に要する費用は結果的に低廉で、かつ、迅速に処理ができます。

 (6)法第14条地図作製の布石となります。
    日本の地図づくりは、諸外国に比べて遅れています。遅かれ早かれ、いつかは法務局において体系的な地図
   (不動産登記法第14条に規定されている地図)を作製します。そのときに境界標は不可欠です。
    つまり、現在境界標を設置することは、地図作製の準備となります。

 (7)不動産登記制度の充実になります。
    登記簿と現況を合致させることは、登記制度の根幹です。境界標設置は不動産登記制度の原点といえます。

  

境界標設置に勝る防御なし

  

 

5.境界標設置は調査士の仕事

  「土地家屋調査士」は、不動産に関する国民の権利を現地において明確にするために、
  依頼を受けて不動産の表示 に関する登記に必要な土地又は建物の調査・測量をして、法務局へ申請する仕事をしています。

  仕事をするに当たっては、法律的判断と高度な技術を必要とし、常に厳正中立な立場から公正で適切な仕事をしています。

  特に境界を確認するときは、可能な限り関係する資料を収集し、現地の状況(物証)関係人の意見(人証)、
  地図や協議書等(証書)を参考に信念を持ってアドバイスをしておりますので、決して声の大きい人、
  又は主張の強い人に押されるようなことはありません。

  それは、常に公正な立場を堅持し、多くの経験を生かしながら専門的知識を駆使して、国民の付託と信頼に応える
  ことを使命にしているからです。 

  境界標の設置数は全国で活躍している調査士の手によって毎日数万本に及ぶはずです。

  若し、境界標について、設置を検討している場合や心配なことがある場合なども、気軽にご相談下さい。

 

 公正、公平は調査士の信条

6.暮らしの基を支える調査士

  日常生活を快適に過ごすためには、様々な生活環境が整っていなければなりません。

  中でも、隣との楽しい付き合いは最も大切な条件と言えるでしょう。

  ところで隣人との付き合いが、境界のトラブルがもとで仲違いしていることも世間にはたくさんあります。
  場合によっては刃傷沙汰も珍しくありません。

  これを国の場合に置き換えますと、国境ですから戦争になることもあります。

  土地は、国民生活の基盤であって、宅地造成、道路や橋を構築する公共事業の場合も総べて、境界を確認する
  ところから始まります。 

  美しい建物や橋は目に見えますが、それを支える境界標は縁の下の力持ちのような役割を果たしています。
  登記制度においても、現地の境界標を確認の上、地積測量図に記載する等して、作製されたものが
  保管されているのです。

  私達土地家屋調査士の仕事は、すべての原点をなす境界標設置から始まります。

  境界紛争や境界トラブルの事前防止、取引の安全、公共事業の促進、土地、建物の財産の保全等、
  普段気付かないところですが、土地家屋調査士は暮らしの基本である地域の平穏な生活の維持に大いに貢献していくのが
  私達土地家屋調査士の仕事です。

  土地や建物又は境界に関して分からないことがありましたら、お気軽にご相談下さい。 

  

境界標設置と自己管理

     

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